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  • Tomofumi Ueji

【判例集】長時間労働による精神障害発症~岐阜地裁H31.4判決~

更新日:2020年5月25日

Y法人に雇用され、Y法人の管理運営するA病院に勤務していたXが自殺。


Xの自殺ついて・・・

Xの両親はA病院において過重な長時間労働を強いられたことよるうつ病であると主張して、Y法人に対し、債務不履行(民法415条)による損害賠償請求を求めました。


Y法人は、

①管理下におけるXの業務が量的にも過大ではなく、Xの業務の進め方、姿勢に問題があった

②Xに対し超過勤務申請を促したにも関わらず、超過勤務申請を提出しなかったことから、Y法人はXの労働状況及び健康状況把握できなかったために必要な措置をとることができなかった 

③Xがうつ病発覚していていたとしても、発病前に精神科を受診するなど自己の健康管理を行うべきであった


と、主に上記を主張して、過失相殺の主張を行いました。


 

裁判所はY法人の主張をいずれも退け、過失相殺を否定。

合計7,183万8,000円の賠償を認めました



Xの死亡にいては労働基準監督署長により、うつ病を発症して自殺に至ったとして、労働災害として「認定」されています。



<判決のポイント>

本件において、裁判所は、XはA病院での慢性的な長時間労働よりうつ病を発病し、そのうつ病が原因となって自殺したと認定。


Y法人側において、

・Xが効率的な業務が行えないことを想定し対応すべきであった

・Xが現に効率的な業務を行えていないことを認識しながら十分な指導や助言を行っていない


として、Y法人の主張を否定しました。


さらに、裁判所はY法人の健康管理の不十分さを指摘。

過失相殺を認めることは相当ではないとし、Y法人の主張を否定しました。



<実務上の留意事項>

使用者の過失相殺の主張としては、労働者の業務量は過大ではなく、労働者の処理効率に問題があったことや労働者自身が自己の健康管理を行わなかったことがよくあげられます。


しかし、本事例を見ると、裁判所は

『使用者が労働者の労働時間などを把握する義務を転嫁することを許していません。』


また、労働者が業務を効率的に処理できていないことを使用者が認識している場合には、当該労働者が業務を効率的に処理できるように指導・助言する義務を使用者が負っているとも考えられます。 使用者は、日ごろから労働者の業務量・処理状況を把握し、社内において「メンタルケア」などの相談窓口を設けたり、産業医との面接指導を活用したりするなど、労働者の長時間労働を抑制するために適切な対策を行う必要があります。

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